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慢性C型肝炎に対する経口薬治療について

肝疾患の大きな原因であるC型肝炎に対し画期的な新薬が使用可能となりましたので簡単に解説します。

1)慢性C型肝炎治療の変遷

 慢性C型肝炎は症状のあまりない疾患であるため、気づかずに放置すると、肝硬変から肝不全へ進展したり、肝癌を発生したりして予後不良となってしまいます。そのため採血で早期に発見し、可能な限りウイルスを排除させることが重要です。根本的な治療はC型肝炎ウイルスを排除することですが、そのためには半年から1年のインターフェロン(IFN)注射による抗ウイルス療法が必要であり、当初は連日もしくは週3回の注射が必要でしたが、辛い副作用のわりにはその効果はとても満足しうるレベルではありませんでした。その後、IFNに加えて飲み薬のリバビリン(RBV)の併用により治癒率の向上が図られ、また週1回の注射でよいペグ製剤(PEG-IFN)の実用化により、副作用の軽減ともに治療に対する利便性が向上し多くの患者の方が治癒しました。しかしそれでもウイルスの型が1型で、ウイルス量の多い患者の方(type 1 高ウイルス量)は50%程度しか治りませんでした。平成25年11月よりウイルス内の酵素を阻害して増殖をおさえる飲み薬のシメプレビルが使用可能となり、当科でも平成26年1月から導入し、多くの患者の方に治療をおこないました。対象はウイルスのタイプがtype1で多くは過去の治療で治らなかった方が対象でした。しかしこの薬もIFNおよびRBVの併用であったため患者さんに負担がありました(特に高齢者)。そしてこの治療で今までの治療で治らなかった方の多くが治りましたがそれでも治らない方が存在し、当科でこの治療を行った患者さんのうち1/3の方が治りませんでした。

2)インターフェロン不要な経口薬について

 前述のようにC型肝炎の治療は、進歩はしてきましたが、いずれもIFNという注射が必要であったため、患者さんに負担となり、その副作用で治療困難な方も多く存在しました。しかし近年IFNを使用しない飲み薬だけの治療でC型肝炎を治癒させることができる画期的な薬が開発されました。直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals;DAA)とよばれるもので、C型肝炎のウイルスに直接作用して増殖を抑えます。簡単な説明として、IFNは個々の患者さんの免疫の力を利用してウイルスを退治するため患者さん自身がウイルスと闘わないといけないので辛くなりますが、DAAは直接ウイルスに作用して退治して患者さんはウイルスと闘わなくてすみ楽に退治できるという理屈になります。よって患者さんに対する負担は少なく副作用はほとんどありません。いままでIFNの副作用が辛くて治療を中断した方やあきらめていた方にも使用できます。実際80歳以上の超高齢者のかたにも使用しておりますが問題なく服用されております。ただ腎障害のかたや抗痙攣薬、抗不整脈薬の一部を飲まれている方には使用できません。肝疾患が進んで肝不全の状態の方も使用は難しいとされています。また同時に飲むと効果が弱まる薬も存在しますので詳しくは担当医に確認ください。注意すべき点として、DAAの中には治療がうまくいかない場合ウイルスが他の薬も効かなくなる(耐性といいます)状態になる薬もあるので注意が必要とされています。
なおこれら薬は大変高額であることが話題になっておりますが、行政の補助で多くの患者さんが月2万円程度で治療可能となっております。手続き等が必要ですので担当医や行政機関にご確認ください。なおこの助成制度には肝臓専門医の診断書が必要ですが、当科は同専門医が在籍しておりますのでご安心ください。

3)タイプ1型に対する経口薬

 C型肝炎はウイルスのタイプがあり1型と2型がほとんどです。このうち1型は今までの治療で治りにくく、さらに肝硬変肝癌へ進行する可能性が高いといわれており対応に苦慮する病態でした。平成27年9月にDAAのなかでも耐性がほとんどなく効果が優れているレジパスビル/ソホスブビル(商品名ハーボニー配合錠)が発売されました。12週の内服で、ほぼ100%の患者さんが治癒すると言われています。副作用もほとんどなく、また慢性肝炎から代償性肝硬変(肝硬変でも肝機能が保たれている段階)まで投与可能です。また耐性の問題もないようです。いままでインターフェロンが使えなかった方や治癒しなかった方には大きな福音となる画期的な新薬です。副作用は、ほとんどありませんが、腎障害のかたや抗痙攣薬、抗不整脈薬の一部を飲まれている方には使用できませんし、同時に飲むと効果が弱まる薬も存在しますので詳しくは担当医に確認ください。

4)タイプ2型に対する経口薬

 一方2型のウイルスは今までの治療で比較的治りやすかったので患者さん自体は減少していますが、それでも治療に反応しなかった患者さんや治療できなかった患者さんがおられます。このような患者さんに対し、1型に先行して平成27年6月からDAAが使用されました。1型にも使われているソホスビル(商品名ソバルディ)に以前IFNとの併用で使用されたリバビリン(商品名コペガス)を合わせて服用する方法でやはり12週の内服で治療します。やはりほとんどの患者さんが治癒するといわれております。副作用はハーボニーの副作用に加え、コペガスの副作用である貧血や倦怠感などがあります。また妊娠すると胎児に影響すると言われているので治療中は避妊が必要です。このコペガスという薬は以前IFNと併用で使用された薬でこの時はかなり副作用が認めましたが、この治療では副作用は軽微なもので済むとされています。

 以上C型肝炎に対する画期的な新薬について説明いたしました。治療効果は薬の服用が終了したのち3か月から半年ウイルスが検出されなければ治癒と判定します。そのためまだ当科での成績は出ておりませんが、いずれ結果をお知らせできると思います。当科ではC型肝炎の患者さんには、過去の経過や、合併症や年齢にかかわらず積極的にこれらの薬の使用を検討していく方針です。また肝癌合併の患者さんはこれらの治療の適応にはなっておりませんが。肝癌が治療できれば治療できますので、当科では肝癌治療後早期にこれらの薬を使用していきます。過去にC型肝炎治療を行ったが治らなかった方や、副作用等で断念した方、新規にC型肝炎と言われた方は、一度当科外来を受診していただければと思います。

基本的に1型は初回、再治療にかかわらずほぼ全てハーボニーとなります。DCV/ASVはダグラスプレビル/アスナプレビルという以前にでた経口薬、一部耐性が問題とされておりこの薬で効かなかった例はその後の治療が難しくなるとされています。

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