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診療科の特色

幅広く高度な診療内容
 消化器内科は以下のスタッフに臨床研修医を加えて診療を行っています。腹痛、下痢といったごく一般的な胃腸炎から、進行した消化器がんに対する治療まで幅広い領域に対応しております。 平成27年1年間の当科の、のべ入院患者数は2185名で、昨年から約150名増と毎年着実に増加しています。新病院開院(平成22年5月)効果は薄れてきていますが、スタッフの充実と診療レベルの向上による結果だと思います。扱った疾患や検査処置は別項を参照いただければと思います。診療科の特徴として悪性疾患の診療に力をいれている結果、消化器領域の悪性疾患である胃がん、大腸がん、食道がん、肝細胞がん、胆道がん、膵がんの、のべ入院患者数の合計が425名20%となっています。以前なら専門施設に紹介していたような患者さんの多くが、当院で治療できるようになった結果だと考えています。また逆に当院での治療を希望して来院される患者さんも多数おられ、特に肝細胞がんに対する治療では専門施設にひけをとらないレベルと自負しており、朝日新聞出版から発売された「週刊朝日MOOK 手術数でわかるいい病院2014 」の肝胆膵がん全国データーのなかの肝がんラジオ波焼灼術の部門で、年間治療数が106例で全国39位にランクインされています。また消化管早期がんに対する消化器内視鏡治療も平成24年に専門医が赴任以来急速に増加しており近隣の施設からの紹介も多数であり、早期大腸がんに対する内視鏡治療の件数は2年連続して関東地方でランクインしております。その他進行がんに対する抗がん剤治療や胆道疾患に対する内視鏡治療、さらに難治性腹水に対する治療など専門性の高い治療も多く経験しています。

積極的な学会活動
  また当科は日本消化器病学会および日本消化器内視鏡学会、日本超音波医学会、日本肝臓学会で施設の認定を受けており※でもあり、学会活動にも熱心に取り組んでいます。毎年春秋の学会に当院の治療成績などを報告し、他の施設の先生方と議論して、診療レベルの向上に努めております。(過去5年間の消化器内科業績集をご参照ください)

※当科の消化器関連学会の施設認定と指導医、専門医の数

  施設認定
(学会により名前が様々です)
専門医数 そのうち指導医数
日本消化器病学会 認定施設 6 2
日本消化器内視鏡学会 指導施設 5 4
日本肝臓学会 関連施設
(横浜市立大学市民総合医療センター)
1 0
日本超音波医学会 専門医研修施設 1 1
人材の確保育成
  当科では多くの若手医師を受け入れております。その出身は様々で、当院初期研修医からそのまま勤務する若手や大学から派遣されるもの、それ以外に他院で勤務していてより専門的に勉強したい若手医師などが一つのチームとして働いております。当科は今後も人材の確保育成を積極的に行っていく方針です。当課で共に学びたい医師の方や興味をもたれた方は、消化器内科医師の皆様へを参照下さい。

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診療方針

疾患を迅速に診断し適切な治療法を選択した上、十分な説明のもとに治療を行っております。またがん患者さんが多数治療を受けにいらっしゃいますが、原則的にはご本人、ご家族に病気についてきちんと告知し治療方針をご相談いたします。また外科との連携を重視しており、協力して消化器疾患の診療に当たっております。手術の必要性などを適時検討し迅速に施行する体制をとっております。また他のメディカルスタッフ(看護師、薬剤師、リハビリスタッフ)などと協力しチームとして診療にあたっております。
また当科入院病棟には緩和ケア認定看護師が活動しており、がん患者さんのサポートを行っており看護一般に加え、専門性の高い看護を提供できるように努め(看護部のホームページをご参照ください)、医師と看護師が協調し、患者さんが安心して療養できるように取り組んでおります。
なお当科では対応しきれない重症の疾患や、second opinionを御希望なさる場合は、近隣の大学病院や専門施設を紹介するようにしております。

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得意とする診療

特に当科が力を入れている診療について解説します。大きく分けて、がん診療・消化管に対する内視鏡診療・肝胆膵疾患に分けられます。

がん診療

肝がん

肝がんは肝臓から発症する肝細胞がんと他の臓器のがんが転移する転移性肝がんに分かれます。

1-a) 肝細胞がん

当科は平成11年に専門医が赴任以来、今までの診療に加え新たに肝細胞がんの診断治療に力を入れてきました。肝細胞がんの多くは、B,C型肝炎ウイルスなどを原因とする慢性肝疾患から発症するものがほとんどで、それらの患者さんを集中して定期検査を行うことにより多くの肝細胞がんの患者さんを発見できます。一般に肝細胞がんは3cm程度まで成長すると超音波検査やCT,MRIなどで特徴的な所見が出てくるため専門医でなくても診断可能ですが、治療成績をよくするにはより早い段階(できれば2cm以下)での発見が望まれます。しかしこの早い段階での診断は難易度が高く専門的な知識が必要です。当科では担当医と肝がん専門医が連携し、定期検査を行いながら早期発見に尽力しており疑わしい所見があれば精密検査のため入院していただき、腹部血管造影検査を中心とした検査を受けていただき治療の適応を判断しています。なかでも新病院になってから導入したEOB-MRI検査は有用であり慢性肝疾患の患者さんには定期的(半年に1回程度)に行い早期の肝細胞がんを発見しています。当科で肝細胞がんの診療に入れ始めた平成11年以降16年間で、当院定期通院中の慢性肝疾患の方から130例の肝細胞がんが発生していますが、発見時の平均の大きさは18mmと早い段階で診断できており、なかでもEOB-MRIを導入後は平均16mmで診断されています。これらの患者さんは経皮的エタノール注入術や肝細胞がんに対するラジオ波焼灼療法といった局所治療で治療されています。
他の施設から治療困難とされた症例に対しても積極的に治療を試みており、他施設からの紹介は初発例再発例を含めこの16年間で177例に達しています。局所治療で治療できる大きさ、個数であれば極力局所治療を行い、局所治療の適応外である進行したものにも、抗がん剤の動注治療や全身投与などを行っています。
平成11年以降の肝細胞がんの診療実績は、全418例で、そのうち初回から当院で治療を行ったものが347例で、その5年生存率は62%です。さらに当科の特徴として、一般的に局所治療の適応と言われている3cm以下で3個以内の肝細胞がん239例を全て局所治療で治療しており、5年生存率は75%と良好な成績を上げております。もちろん手術や動脈塞栓術を否定するものではなく、そちらをご希望の方は申し出ていただければと思いますが、基本的に腫瘍の存在場所等にかかわらず局所治療で治療を試みる方針をとっております。肝機能とがんの進行度をあわせた指標であるJIS score別の生存率は以下の通りで、最もよい状態である肝機能良好でがんが1個2cm以下の状態であるJIS0の状態では5年生存率82%で、この成績他施設の成績と比較しても遜色ありません(第19回肝がん追跡調査では57%)。局所治療法の中心的な方法であるラジオ波治療の詳細や治療成績に関しましては、別項にある肝がんに対するラジオ波焼灼療法をご参照ください。
また肝細胞がんは初回治療も大切ですが、背景に慢性肝疾患が存在するため再発率が大変高く、5年で70%再発すると言われています。当科でも先に述べた3cm3個以内の239例のうち、再発を一度もしないで生存している率(無再発生存率)は5年で36%です。そのため再発の早期発見と治療が初回治療以上に重要です。当科では肝細胞がんの患者の方は必ず画像診断を定期的に行い、主治医と専門医で十分に検討し疑わしい場合は速やかに検査処置を行う方針としております。そのため、通常の診察を診察していただいているかかりつけの先生におかかりの場合も、連携をとって定期チェックのため来院してもらっています。詳しくは肝細胞がんの治療後の経過観察の項をご参照ください。

当初初発の肝細胞がん347例の生存率 当初初診の肝細胞がん292例のJIS score別 生存率 当院初診の3cm3個以内の肝細胞がん206例の全生存率および無再発生存率
1-b) 転移性肝がん

転移性肝がんは肝臓にあるがんだけを治療すればよいのではなく、原発のがん(もっとも多いのは大腸がん)の治療が重要ですが、原発のがんがきちんと治療されており、転移が肝のみ、もしくは肝がもっとも患者さんの寿命に影響すると考えられた場合は、肝に存在する転移病変に対する治療を積極的に行っております。このような患者さんに局所治療(ラジオ波治療)がどの程度有効であるかは議論のあるところで、手術が可能であれば手術が第一選択であるとされております。実際ラジオ波治療は病変を手術に比べ局所のがんの残存があり得るとされ局所再発の危険が高いとされ第一選択とはされていません。しかし、現実問題として、肝転移に対して合併症や年齢等で手術が困難な場合や、原発巣の跡であり続けての手術は負担とのことで、手術をご希望されない患者さんは多数おられます。このような患者さんに対して、抗がん剤治療という選択肢もありますが、抗がん剤は長期に使用する必要があり、手術を希望されない方には負担となります。また抗がん剤はがんをコントロールするのが目的であり、全て壊死することはあまりありません。そのような患者さんにわれわれの取り組んでいるラジオ波治療は、少なくとも焼いた部位は確実に壊死させることができ、治療した部位には有用と考えています。再発した場合も早期に発見すれば追加での治療が十分に可能です。またこのラジオ波治療は抗がん剤との併用が可能なため、われわれは抗がん剤治療と共存しうる治療法と考えております。他院で抗がん剤治療を行い、あと少しでがんが消失するような場合などは、ラジオ波だけ当院で行い残ったがんを壊死させて、その後再びもとの病院で抗がん剤治療を行うことも可能で、実際そのような目的での治療も多数認めます。もちろん継続してその後も抗がん剤治療を当院で行うことも可能です。逆に強い抗がん剤が副作用で使用困難となった場合や、効果を認められなくなった場合に、ラジオ波治療で腫瘍のかなりな部分を壊死させて、その後に他の抗がん剤で増大を抑制する治療も行っております。その結果、長期生存が難しいとされる肝内胆肝がんの術後再発に対し、ラジオ波と抗がん剤の組み合わせで5年以上の長期生存を達成した患者さんもいらっしゃいます。転移性肝がんの方では手術が困難もしくは希望されない方、抗がん剤での治療が困難になった方、抗がん剤でがんが縮小した方などにはラジオ波治療を積極的に検討しています。ラジオ波治療の詳細は肝がんに対するラジオ波焼灼療法をご参照ください。

~ラジオ波治療をご希望される方へ~

当院消化器内科後藤の外来を受診してください。紹介状を持参いただけるとスムーズですが、なくても経過をお話していただくだけで診療可能です。紹介状を持参いただいた場合は当院連携室を通じて後藤の外来枠を予約してください。遠方の場合や他院に入院中の場合はご家族の受診でも可能な場合もありますのでお問い合わせください。紹介状のない場合は、当院初診の場合は直接来院という形になりますので、消化器内科外来へお電話もしくは来院していただきラジオ波に関して後藤の外来を受診したいとお伝えください。直接来院の場合は後藤の診察日(火木)で受付時間内に来院していただければ、お待たせしてしまう場合もありますが当日に診察可能です。その上で検査等行いながらラジオ波施行の可能性を相談させていただきます。セカンドオピニオン外来も開設しておりますのでそちらもご利用下さい、ただ当院で治療を希望される場合は、セカンドオピニオンより通常の保険診療の方がスムーズに診療できると思います。なお、お電話でラジオ波が可能か否かの個別のお答えはできかねますので、ご相談ある場合はいずれかの方法でご来院ください。

消化器がん(肝がん以外)

手術適応ではない消化器の臓器に発生したがん(胃、大腸、膵臓、胆道など)に対しても抗がん剤治療(化学療法)を積極的に行っております。現在抗がん剤の種類、組み合わせも増え、患者さんの状態、ご希望を考慮し、最適と思われる治療法を選択し治療(1次治療)を開始します。その後、定期的に採血やCT等で効果を判定し、効果が不良の場合は患者さんの体力等を考慮しながら別の抗がん剤に変更(2次治療、3次治療、・・・)を行っていきます。当科での抗がん剤治療は標準的な治療法が中心ですが、前述のように肝臓に転移があるものはラジオ波治療を組み合わせる場合もあります。それぞれのがんに対する抗がん剤の治療実績は別項参照ください。なおまだ一般的でない治験段階の抗がん剤治療をご希望の方は専門施設にご紹介いたしますので担当医に申し出てください。

当科における抗がん剤治療実績(平成18年1月~平成26年11月まで新規抗がん剤施行患者数(肝がんを除く))
疾患 患者数
食道がん  1
胃がん  63
大腸がん  64
膵臓がん  54
胆道がん  37
その他  1
 220
当科の抗がん剤治療実績(1次治療)(平成18年6月~平成26年3月まで)
疾患 抗がん剤治療の種類 件数
胃がん S-1単独 22
S-1+CDDP 26
大腸がん FOLFOX(+分子標的薬) 22
FOLFIRI(+分子標的薬) 2
XELOX(+分子標的薬) 7
SOX(+分子標的薬) 3
TS-1単独 5
膵臓がん GEM 25
S-1単独 12
胆道がん S-1単独 8
GEM 4
GEM+CDDP 5
S-1 DSM-TACE 2
GEM DSM-TACE 1
DSM-TACE 3
その他   2
全体   149

当科の化学療法の詳細につきましては以下をご参照ください。
胃がんの化学療法と成績
大腸がんの化学療法と成績
膵がんの化学療法と成績
胆道がんの化学療法

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消化管疾患に対する内視鏡診療

消化管疾患全般に対して内視鏡を用いた診療を積極的に行っています。以下のような方は検査を受けることをお勧めいたします。

  • 【食道の精密検査を受けた方がよい方】
    食後につかえる感じや違和感がある、飲酒が多い(特に飲んだ後に顔が赤くなる人)、喫煙者、咽頭・喉頭・口腔がんの既往
  • 【胃の精密検査を受けた方がよい方】
    胃の症状(胃痛・不快感など)、ピロリ菌陽性、内視鏡で以前に慢性胃炎と言われた方、胃がんの家族歴、バリウム検査で陽性
  • 【大腸の精密検査を受けた方がよい方】
    便の潜血検査が一回でも陽性、大腸ポリープを切除したことがある、大腸がんの家族歴大腸内視鏡については、大腸内視鏡検査のおすすめを参照下さい。

<胃カメラは苦手、という方>
鎮静剤という点滴をしてウトウトしながら安全に楽に検査を受けていただけるように心掛けています。検査後1時間程ベッドでお休みいただき、安全な状態で帰宅することができます。希望される方は外来時・または検査前にスタッフへお申し出ください。

以下特に力を入れている内容を解説いたします。

早期消化器がんに対する内視鏡診断・治療

詳細は内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)をご参照ください。

1-a)早期食道がん

食道がんは早期の状態では、ほとんどが無症状で内視鏡で偶然発見されることが多いです。進行すると、食事のつかえや胸の奥の痛み等の症状が出現します。進行食道がんの治療は、手術、抗がん剤、放射線治療等を組み合わせて治療となりますが、必ずしも満足のいく成績とはならず、手術の侵襲性も考慮すると早期発見・早期治療が望まれます。早期の状態で見つかれば内視鏡治療の良い適応です。早期発見には、最新の内視鏡画像強調システム(NBI:narrow band imaging)を用いた拡大内視鏡検査や特殊な染色法を用いることが有用で、当院でも積極的に行い初期で発見される方が増えています。治療法は、早期食道がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行なっております。食道ESDでの重篤な偶発症である穿孔(食道へ穴があく合併症)は0件と良好な成績を収めています。

1-b)早期胃がん

胃がんは近年減少傾向といわれていますが、それでもなお男性では罹患率は1位です。そのがんの発生には大部分にヘリコバクター・ピロリ菌が関与しています。早期がんであれば、ほとんど症状はなく、バリウム検査や内視鏡検査で偶然発見されます。進行すると貧血、食欲不振、体重減少が出現することが多く、その際には手術、抗がん剤が選択されます。もし早期発見されれば、お腹を切ることなく内視鏡での切除が可能です。早期発見されたがんに対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行なっておりその成績については国内外での学会・研究会で多数報告しています。

1-c)大腸ポリープ、早期大腸がん

大腸がんは食生活の欧米化に伴い近年その頻度が増加しています。他の消化器がん同様、早期であればほとんど無症状です。早期発見のためには大腸内視鏡検査が重要です。通常のサイズのポリープであれば、従来から行われているポリペクトミー(粘膜から隆起したものに対して細い針金(スネア)で縛って焼き切る)、や内視鏡的粘膜切除術(EMR)(生理食塩水を粘膜に注射して盛り上げてからスネアで焼き切る)を行い、1泊~2泊程度での入院で治療が完了します。しかし、20-30mmを超えるような大きい大腸腫瘍や、スネアでの切除が難しい腫瘍(部位や、以前の治療後にできた再発性の腫瘍)ではこれらの内視鏡治療法では切除が難しいとされています。このような治療難易度の高い大腸腫瘍に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を当院でも導入しております。ESDは、技術的難易度が非常に高いですが、当院では十分に訓練をうけた医師が行うことによりその成績も非常に良好です。入院期間は7日間程度で、退院後一週間後には通常の生活に戻れます。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)件数の推移
  2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
食道 0 0 0 10 16 21 20
8 15 9 65 51 63 81
十二指腸 0 0 0 0 0 0 2
大腸 0 0 0 44 56 61 101
合計 8 15 9 119 123 145 204

当院においてESDで切除した最大腫瘍サイズ(2015年1月現在)食道:80mm 胃:110mm 大腸135mm

ヘリコバクター・ピロリ菌感染症

ヘリコバクター・ピロリ菌陽性を指摘された方で、胃十二指腸潰瘍、慢性胃炎、早期胃がんの治療後等の方は保険診療で行うことができ、積極的に行っております。除菌内容は抗生剤2種類と胃酸抑制剤1種類で7日間投与し、一か月以上後に除菌の判定を行います。当科での最近の一年間の除菌率は、1次除菌率75.5%、2次除菌成功率95.2%とこれまでの報告とほぼ同等でした。ピロリ菌除菌、または精査をご希望の方は外来へ受診ください。

消化管出血に対する緊急内視鏡

吐血や下血などの消化管出血の他、薬のシートなどの異物誤飲などの場合には、緊急で内視鏡検査を施行し治療しています。出血原因としては胃十二指腸潰瘍出血約6割、マロリー・ワイス症候群約2割、内視鏡治療後1割、他、GAVE・DAVE、胃がん、血管拡張症、逆流性食道炎などでした(2013年日本消化器病関連学会で報告)。出血に対してはその原因によって、出血部位を焼灼する方法や、金属製のクリップ、薬剤の注入を選択し適切な治療を行っています。緊急内視鏡時も内視鏡専門医の他、人員をしっかり確保し安全確実な治療を心掛けています。

小腸疾患に対する内視鏡診断・治療

今まで小腸は胃や大腸と異なりあまり診断治療が発達してきませんでした。これは検査が難しく診断が困難なことと、小腸疾患の頻度が少ないためあまり関心を持たれていなかったためと言われています。しかし近年はカプセル内視鏡や小腸内視鏡の登場により小腸疾患にもスポットライトがあてられ、その全貌が明らかになってきました。特に、これまで胃カメラや大腸カメラでは原因のわからなかった原因不明の消化管出血に対し、カプセル内視鏡を施行してみると、血管性病変、潰瘍、がん等が発見され適切な治療を選択できるようになりました。当科でも小腸疾患が疑われる症例に関しては、小腸内視鏡やカプセル内視鏡といった検査を積極的に行い適切な治療を心がけております。小腸疾患が疑われる場合はご相談ください。
なおカプセル内視鏡については小腸カプセル内視鏡についてをご参照ください。

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肝胆膵疾患

肝臓、胆道、膵臓のがん以外の疾患についても専門的な治療を行っています。

ウイルス性肝炎

慢性肝疾患の原因の多くはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスというウイルス性肝炎であり、それぞれに対応して治療しております。

1-a)慢性B型肝炎

慢性B型肝炎はインターフェロン治療が試みられていましたがウイルスを完全に排除することは困難な病気です。しかし現在はエンテカビルといった抗ウイルス薬でウイルスの増殖をおさえてウイルスの検出感度以下にすることが可能であり、多くの患者さんがウイルス性肝炎の進行を制御できるようになりました。エンテカビルという薬は副作用がほとんどない経口薬ため患者さんにとっては負担が少ない治療となっています。ただ継続しての内服が大切であり注意が必要です。

1-b)慢性C型肝炎

慢性C型肝炎は症状のあまりない疾患であるため、気がつかずに放置すると、肝硬変から肝不全へ進展したり、肝がんを発生したりして予後不良となってしまいます。そのため採血で早期に発見し、可能な限りウイルスを排除させることが重要です。今までは副作用の辛いインターフェロンの注射が必要でしたが平成27年よりインターフェロンが不要の経口薬のみでの治療が承認されました。当科でも平成27年夏より治療を開始しいたしました。5月からソバルディとペガシスという飲み薬をウイルスのタイプが2型の患者さんに、そして10月から1型の患者さんにハーボニーという飲み薬を使用しています。詳細は慢性C型肝炎に対する経口薬治療についてをご参照ください。

脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎

慢性肝疾患の原因は前述のウイルス性肝炎以外では、アルコールや自己免疫によるものが多数ですが、近年増加し注目されているのが脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎です。当科でも力を入れており積極的に診断治療するようにしています。詳細は怖い脂肪肝をご参照ください。

肝硬変

肝硬変は様々な肝疾患の終末像であり予後不良な状態です。その中でも腹水、肝性脳症、食道静脈瘤、血小板減少といったさまざまな合併症が出現し治療に難渋します。しかし今はそれらに対しても様々な以下のような治療法が試みられています(詳細は担当医にお問い合わせください)。その中でも肝硬変が進行し腹水がコントロール困難となった患者さんにはCART(難治性腹水に対するCARTについてをご参照ください)を積極的に行っております。まだまだ発展途上の分野ですが患者さんの予後を改善するため積極的に行う方針です、なお内科治療困難な場合は肝移植が選択肢になり得ますのでその場合は専門施設をご紹介させていただきます。

当科における肝硬変合併症に対する主な治療
腹水 従来の利尿剤(ラシックス・アルダクトン) CART IVR (BRTO・PSE) 水利尿剤(サムスカ)
食道・胃静脈瘤 内視鏡治療 IVR(BRTO)
肝性脳症 薬物治療(ラクツロース・カナマイシン・アミノレバン) IVR(BRTO)
血小板減少   IVR(PES)

CART:腹水濾過濃縮再静注療法
IVR:血管内カテーテルを用いた治療
BRTO:バルーン下逆行性経静脈的塞栓術
PSE:部分的脾動脈塞栓術

胆膵疾患

胆石症や胆管結石、さらに胆管がんや膵がんなどに対しては内視鏡を用いて十二指腸からカテーテルを挿入し、胆管内の結石の除去や、stentという金属の管を挿入することによるがんによる狭窄の解除などの治療いたします。さらには膵がんに対しても内視鏡を用いて超音波検査を行ったり、穿刺して診断したりする手技が発達してきています。当科でも専門施設と連携をとりながらこれらの疾患の診療を行っています。
特に近年、高齢者社会をむかえて、胆道疾患が急増しており当科でも胆道疾患が増加しており、それらに対する内視鏡治療の経験が豊富になりました。治療の基本は、胆道が十二指腸に開口する部位である乳頭という弁を、風船で広げる方法や、ナイフで切開する方法で治療します。当院では術後の合併症を早期に発見するため、術後すぐCTを撮像し、異常の早期発見に努めております。また特徴として超高齢者の方にも積極的に治療を行い安全に施行いています。当科では胆道疾患に対する内視鏡治療を積極的に行っており特に高齢者の方にも安全に行っています。またその成績を毎年学会に報告しております。詳細につきましては総胆管結石に対する内視鏡治療についてをご参照ください。

以上代表的なものを簡単にご説明いたしましたが、その他の疾患についても担当医に気軽にご相談ください。

こんな症状取り扱います

  • 腹痛、下痢、嘔吐、食欲不振、吐血、下血、腹部の膨満
  • 健診での消化器系の異常
  • 体重減少などでお腹のがんが不安な方
  • 肝がんの疑いがあると言われた方、また治療が難しいと言われた方
  • ラジオ波治療はもう出来ないと言われた方
  • 消化管(食道、胃、大腸)のがんに対し内視鏡治療をご希望の方

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患者さんへ

当科では診療研究実績をホームページで公開しています。以下をご参照いただき、来院の際参考にしてください。

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当科における過去10年間の学会発表件数

全て当科での診療実績をもとに当科所属医師が報告しています。出身大学や他施設での研究等は含みません

  日本消化器病学会 日本肝臓学会 消化器内視鏡学会 その他 国際学会 うち主題演題
総会 地方会 総会 地方会 総会 地方会
H18 3 5 3 0 2 0 0 0 13 1
H19 3 5 4 0 0 0 0 2 12  
H20 4 6 3 0 0 0 0 0 13 1
H21 4 6 5 0 2 0 0 0 17  
H22 6 8 5 0 2 0 0 1 22 1
H23 8 5 7 0 1 0 0 0 21 1
H24 6 5 6 0 3 0 1☆ 1 21 1
H25 7 6 5 0 6 1 0 1 26 1
H26 6 5 4 0 7 0 1※ 1 24 3
H27 7 5 4 0 11 2 0 3 32 3
49 56 44 0 23 1 2 6 181 8

▼ 国際学会は平成19年春に京都で行われた国際学会(APASL)に2題、平成22年秋バルセロナ、25年秋ベルリン、26年秋のウィーンの国際学会(UEGW)に1題ずつ、平成24年春に台湾で行われた国際学会(APASL)に1題、平成27年秋のバルセロナ国際学会(UEGW)に3題発表しました。
▼ 主題演題は、18・20・23年にそれぞれ肝臓学会ワークショップ 22年消化器病学会パネルディスカッション、23年大腸肛門病学会パネルディスカッション、25年消化器内視鏡地方会学会パネルディスカッション、26年は肝臓学会(JDDW)統合プログラム、門脈圧亢進症学会パネルディスカッション、消化器内視鏡学会ワークショップの3題、27年は消化器病学会シンポジウムに2題、消化器内視鏡地方会学会シンポジウムに1題発表しています。

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過去5年間の消化器内科業績集

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過去10年間消化器内科の主な検査処置

  H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
上部消化管内視鏡検査 2712 2298 1940 1768 2404 2975 2958 2978 3310 3530
下部消化管内視鏡検査 1362 1220 1177 1106 1413 1934 1894 1796 1987 2213
ESD 0 0 0 5 15 18 98 106 116 149
内視鏡的大腸ポリープ切除術 230 221 242 274 268 380 414 390 470 523
上部消化管内視鏡緊急止血術 82 47 66 68 37 22 33 37 56 86
腹部血管造影 100 109 110 127 83 107 99 78 83 91
経皮的エタノール注入術 7 4 2 0 0 0 0 0 0 1
経皮的ラジオ波焼灼術 166 218 192 177 244 324 312 258 272 300
経皮的肝生検 2 7 7 6 11 20 53 48 51 27
ERCP 38 51 58 66 81 123 117 143 169 205
(うち内視鏡的乳頭拡張術) 30 47 31 28 35 56 57 71 82 99

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消化器内科の入院患者の主な疾患別推移

  H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
胃がん 36 31 38 76 94 90 78 78 93 82
胃ポリープ 8 6 5 5 12 7 6 17 20 35
胃十二指腸潰瘍 72 71 57 58 71 47 34 38 40 37
急性胃腸炎 237 197 168 154 203 201 290 193 197 192
大腸がん 43 19 26 30 31 27 87 74 106 84
大腸ポリープ 222 212 231 226 235 358 366 293 296 442
腸閉塞 58 65 50 45 49 40 66 65 76 82
検査目的 115 71 81 87 94 148 150 166 140 133
肝がん 283 219 215 238 230 269 256 166 160 175
肝硬変 35 30 36 32 44 53 39 65 82 95
慢性肝炎 32 13 22 30 32 32 27 18 14 19
胆道がん 16 17 16 27 10 17 19 28 34 41
胆道結石 69 69 74 63 92 100 112 166 197 158
膵がん 27 37 23 93 93 65 44 30 39 43

大腸ポリープが著増しています。

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消化器内科医師の皆様へ

以上消化器内科の診療研究実績をお知らせいたしました。当院は平成22年5月に新病院が完成し、様々な機器が更新されよりレベルの高い診療が可能になりました。また様々な分野で臨床研究も進めており日々の臨床を常に検証し技量の向上に努めております。当科はより発展させていくために常に新しい人材を求めております。初期研修医終了後で後期研修を希望される方、消化器病専門医の取得を目指す方、さらに専門医の資格を持ちより技量を発揮したい方など、ともに日本トップクラスの消化器内科を目指せるやる気のある消化器医師を募集しております。当科は出身にはこだわりません。私たちと共に、チームとして働ける方で当科に興味をもたれた方は是非一度見学にいらしてください。当科の勤務内容等をその際ご説明させていただきます。
 見学を希望される方は下記アドレスまでご連絡ください。(大森赤十字病院 総務課人事係(メールはコチラから)へ消化器内科後藤宛にメール下さい)
 なお、初期研修終了予定の方で、消化器内科の後期研修を希望される方は、あわせて当院後期研修のプログラムを参照下さい。

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患者さまへ -「消化器内科診療記録を利用したデータベースの後ろ向き解析」研究への協力のお願い-

大森赤十字病院消化器内科では消化管全般(食道、胃、十二指腸、小腸・大腸)の疾患、肝臓・胆嚢・膵臓など実質臓器の疾患に加え消化管出血、急性虫垂炎、消化管穿孔やイレウスなどの救急症例などを行っております。検査は、血液、尿検査、レントゲン検査はもとより、各疾患に応じた検査、上部・下部内視鏡検査やCT検査、MRI検査、PET検査など非常に多種の検査を行っており、これらの検査をもとに様々な治療を行っております。これらの診療は現代の医療水準下、多くのエビデンスの基に確立された標準治療を主として行っておりますが、今後の治療成績向上のためにはまだまだ多くの研究が必要とされています。その一つの方法として、今までの臨床データを解析して治療成績の検討を行う「後ろ向き研究」が重要です。
そこでこれまで受診された患者さんのこれまでのデータを解析するわけですが、具体的に対象となるデータは、カルテ内容、疾患名、治療・処置内容(投薬状況、検査記録、病理検査など)、各種検査結果(血液検査、尿検査、便検査など)、生理検査(心電図、心エコー、呼吸機能検査など)、超音波検査や放射線検査(X線検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査、PET検査など)といった画像診断、内視鏡検査等々日常診療で施行され得られた臨床病理学的なデータです。
この研究は過去の診療記録を用いて行われますので、特に新たに検体を採取したりすることはありません。また現在や今後の診療内容には全く影響を与えません。解析にあたっては、個人情報は匿名化し、十分に個人情報は保護されます。学会や論文などの形で発表することもありますが、その際も個人が特定されないように致します。
この研究に関して不明な点がある場合やデータの使用を同意しない場合、以下にご連絡下さい。なお、本研究は、当院の倫理委員会の承認を得ております。また、この研究への参加をお断りになった場合にも、将来的に当科における診療、治療の面で不利益を被ることはありません。

 2015年7月1日
 連絡先
 大森赤十字病院消化器内科部長 後藤 亨
 電話:03-3775-3111

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受付時間 830分~1100
休診日 土曜日、日曜日、祝日、年末年始
夜間・休日の救急診療を行っています。