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診療科・部門

心臓血管外科



城南地区で完結する治療を目指します

 これまで、心臓血管外科手術のような高度な医療は、主に大学病院や一部の専門病院がその役割を担ってきました。しかし最近では医療技術の発達に伴い治療内容が進歩し、安全性が向上してきたことでその裾野は広がり、地域の病院でも心臓血管外科手術が受けられるようになっています。
 大森赤十字病院では2014年に田鎖前部長のもと、心臓血管外科が開設しました。以来、毎年多くの心臓血管手術を行なっています。
 2022年に私が新たに診療部長となり、その後も狭心症や心筋梗塞に対する冠動脈バイパス術、弁膜症手術、胸部・腹部大動脈手術(ステントグラフト)、末梢血管手術のみならず、心房細動に対する不整脈手術など、多岐にわたって手術をおこなっています。また、透析や重度の糖尿病など他の疾患をお持ちの患者様に対しても、他科と協力して手術を行っています。

当科では
 「地域で治療を完結」
「顔の見える安心な治療」

 を理念としています。


 私自身、家族の入院を経験しました。
 この時に感じたのは、住まいの近隣で治療を受けられることは家族にとって大きな負担軽減となることでした。
 このことから、当科では「診断から手術、外来のフォローまでを当院で完結することによって、患者様、ご家族様の負担を軽減できる様に」と考えております。
 そして、当科では「顔の見える安心な治療」を提供します。
 実際に執刀する医師が、外来から担当します。その後の入院管理や、手術後、退院後のフォローまで一貫して担当することで、治療対する不安を少しでも軽減します。「受診すると手術を受けなくてはいけないのでは」という心配もあるかと思いますが、「受診」イコール「手術」にはなりません。初診時にはまず、病気の詳しい説明や手術のメリット、デメリット、手術以外の治療についてなどをご説明し、その上で患者様、ご家族様のご意向にあった治療方法について提案させていただきます。
 「手術を受けた方が良いのか」などのセカンドオピニオンも承っておりますのでご相談ください。

心臓血管外科 部長 渡邉嘉之

経歴
1998年 日本医科大学 心臓血管外科(旧 第二外科)入局
2002年 日本医科大学付属病院 心臓血管外科
2007年 榊原記念病院 レジデント
2010年 ワシントン大学(セントルイス) 心臓外科 リサーチフェロー
2012年 日本医科大学付属病院 心臓血管外科 医局長
2015年 大森赤十字病院 心臓血管外科
2022年 同 部長就任

当院で行っている治療

冠動脈バイパス術

心筋を栄養している血管(冠動脈)に対する治療です。
冠動脈は通常、右冠動脈と左冠動脈があり、さらに左冠動脈は前下行枝、左回旋枝の2本に分かれます。
狭心症、心筋梗塞ではこの冠動脈が狭くなったり閉塞したりしています。最終的には冠動脈カテーテル検査にて病変部位を特定します。
治療には、薬物療法・カテーテル治療・手術治療(冠動脈バイパス)がありますが、左右冠動脈3枝病変のある場合や左冠動脈の根本(主幹部)病変の場合、ガイドラインではクラス1でバイパス手術が推奨されています(下図)。

安定冠動脈疾患の血行再建ガイドラインより引用

当院では人工心肺装置を使用しない冠動脈バイパス術(off-pump CABG)を第一選択としていますが、患者様の状態によっては人工心肺装置補助下(on pump beating CABG)に手術を行う場合もあります。両側内胸動脈、大伏在静脈(下肢)、右胃大網動脈、橈骨動脈(前腕)などをグラフトとして使用しバイパスを行います。一般的に術後7-10日で退院となります。

弁膜症手術

大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁輪拡張症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症(逸脱)、三尖弁閉鎖不全症、感染性心内膜炎などが含まれます。
治療には人工弁を使用した弁置換と、自分の弁組織を温存する弁形成があります。
人工弁置換に際し、使用する人工弁には「生体弁(ウシ心膜弁、ブタ弁)」と「機械弁」がありますが、年齢やライフスタイルによって使用する弁を選択します。ガイドラインでは大動脈弁では65歳位以上、僧帽弁では70歳以上で生体弁が推奨されています。
弁置換術後では血栓を予防するため抗凝固薬(ワーファリン)内服を行います。生体弁の場合は約3ヶ月、機械弁の場合は生涯にわたってワーファリン内服が必要となります。弁形成は主に僧帽弁や三尖弁閉鎖不全症に対して行われます。人工リングや人工腱索を使用した形成術が基本となります。弁の状態などによっては弁形成が難しく、弁置換となることがあります。
いずれの手術も心不全を回避し、生命予後を改善する目的に行います。

心房細動手術(メイズ手術)

心房細動(発作性も含む)手術はメイズ(迷路)手術と言われ、米国ワシントン大学(セントルイス)のDr.Coxによってその手技が確立されました。肺静脈隔離術を主軸に左右の心房筋にブロックラインを形成することで心房細動の流れを遮断し再発を予防します。
当初は左右心房壁を切って縫う(Cut and Sew)ことでブロックラインを形成していましたが、出血のリスクが高く、手術時間も長くなっていました。それが医療技術の進歩に伴い、ラジオ波や凍結凝固を使用したアブレーションデバイスを用いてブロックラインの形成(上図)することで、手術時間は短縮し、出血リスクは大幅に軽減しました。
僧帽弁手術と同時に施行されることが多いですが、大動脈弁手術や冠動脈バイパス術と同時に施行することも出来ます。左心房が大きく拡大している場合や心房細動歴が長い場合では治療が難しい事があります。その場合は血栓塞栓症予防のため左心耳のみを閉鎖します。

J Thorac Cardiovasc Surg 2008;135:870-7より引用

弁膜症ガイドラインより引用

胸部・腹部大動脈瘤、大動脈解離に対する手術

腹部大動脈瘤に対して 以前は開腹による人工血管置換術が主に行われていましたが、最近では侵襲の少ないステントグラフト内挿術が治療の中心となっています。
年齢や動脈瘤の形状、血管の性状によってステントグラフト治療が難しい場合もあります。ステントグラフト治療の場合、入院期間は7日間前後です。胸部大動脈瘤に対しても人工血管置換術、ステントグラフト内挿術を行なっています。動脈瘤の位置によってステントグラフトが可能な場合があります。
入院期間は術後10-14日前後です。

その他

心臓内腫瘍、成人の先天性心疾患、上下肢動脈などの末梢血管疾患に対する手術も積極的に行っております。

当科受診をお考えの方へ

心臓血管外科外来(一般)  毎週火曜日午前
(受付 午前8時30分~11時00分)
大動脈外来
※大動脈、一般も受け付けています 
毎週水曜日午後
(受付 午後13時30分から16時00分)
当日受付の場合、待ち時間が長くなることが想定されますので、事前の予約をお勧めします。
かかりつけ医からの紹介状をお持ちの方は持参ください。
その他、緊急性がある場合は随時対応いたします。

外来日程表

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