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診療科・部門

IBDセンター



IBDセンターのご案内

患者さんへ
炎症性腸疾患(IBD)は、長期的な治療と定期的な評価が大切な病気です。
当センターでは、通常の消化器内科外来とIBD専門外来が連携し、診断から治療、長期的なフォローまで支援します。
必要に応じて大腸外科とも連携し、患者さん一人ひとりに合った治療方針を検討します。
 当センターでは、消化器内科医師が中心となり、大腸外科とも連携しながら、潰瘍性大腸炎、クローン病に代表される炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)の診療にあたっています。
 通常の平日外来では、主に消化器内科医師がIBDが疑われる患者さん、またはIBDと診断された患者さんの診断、治療、経過観察に対応しています。より専門的な治療方針の検討や難治例への対応が必要な場合には、週1回のIBD専門外来と連携して診療を行います。

当センターの診療体制

 IBD診療では、診断、薬物治療、内視鏡評価、合併症への対応、外科治療の判断など、複数の視点が必要になります。当センターでは、通常の平日外来では、主に消化器内科医師がIBD(疑い)の患者さんの診断、治療、経過観察に対応しています。また、より専門的な治療方針の検討や難治例への対応を目的として、毎週火曜日午後にIBD専門外来を開設しています。IBD専門外来は日本炎症性腸疾患学会より認定されたIBD専門医が担当し、生物学的製剤や分子標的治療薬の導入・調整、治療方針に迷う症例などについて、専門的な視点から診療を行っています。
 センター長は千葉秀幸医師(消化器内科部長)が務め、IBD診療体制の整備、院内外の連携、地域医療機関との連携強化を進めています。さらに、大腸肛門外科領域の専門医である橋口陽二郎院長(前帝京大学医学部附属病院IBDセンター長)を顧問とし、外科的治療が必要となる症例についても適切に連携できる体制を整えています。
役割 担当 内容
顧問 橋口陽二郎 内科的治療・外科的治療における治療方針の検討、手術適応判断などをサポートします。
センター長 千葉秀幸 診療体制の整備、院内外の連携、地域医療機関との連携強化を進めます。
IBD専門外来 西口貴則
IBD専門医
(現 大船中央病院 消化器・IBDセンター所属)
毎週火曜日午後に、専門的な治療方針の検討、難治例への対応、生物学的製剤・分子標的治療薬の導入・調整などを行います。
通常外来・継続診療 消化器内科医師
IBD連携専門医:千葉秀幸・海老澤佑
平日外来で、IBD患者さんの診断、治療、経過観察に対応します。必要に応じてIBD専門外来と連携します。
外科連携 日吉雅也・森園剛毅
(大腸肛門病学会専門医)
外科的治療が必要となる症例について、大腸肛門外科領域の視点を踏まえて連携します。
今後も、IBD診療に関わる医師の育成および診療体制の充実を進めてまいります。

IBD専門外来

 当院では、通常の消化器内科外来でIBD診療に対応するとともに、より専門的な判断が必要な場合には、週1回のIBD専門外来と連携しながら診療を行っています。
 IBD専門外来では、診断に迷う症例、治療方針の検討が必要な症例、難治例、生物学的製剤・分子標的治療薬の導入や調整が必要な症例などを中心に診療を行っています。
 なお、IBD専門外来は週1回の診療となりますが、通常の平日外来では、消化器内科医師がIBD診療に対応しています。必要に応じてIBD専門外来と連携しながら、継続的な診療を行います。

このような方はご相談ください

  • 血便、下痢、腹痛、体重減少などの症状が続いている方
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病と診断され、治療方針について相談したい方
  • 現在の治療で症状や炎症が十分に落ち着かない方
  • 生物学的製剤、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬など、専門的治療を検討している方

炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)は、消化管に慢性的な炎症が起こる疾患です。代表的なものが、潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)とクローン病(Crohn’s Disease:CD)です。
現在のところ、IBDの原因は一つに特定されていません。体質、免疫の働き、腸内細菌、食生活や生活環境など、複数の要因が関わると考えられています。いずれも長期的な経過をとるため、症状だけでなく内視鏡検査や血液・便検査などで病状を確認しながら、患者さん一人ひとりに合わせた治療を継続することが大切です。
潰瘍性大腸炎(UC) クローン病(CD)
主に大腸の粘膜に炎症が起こります。多くは直腸から連続して炎症が広がり、血便、下痢、腹痛、便意切迫感などが主な症状です。 口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起こり得ます。小腸・大腸に多く、狭窄、瘻孔、膿瘍、肛門病変などを伴うことがあります。

患者さんへ

「症状が落ち着いている=炎症が完全に落ち着いている」とは限りません。再燃や合併症を防ぐため、症状、血液検査、便検査、内視鏡検査などを組み合わせて病状を評価します。

潰瘍性大腸炎(UC)

概念

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜を中心に炎症が起こる病気です。多くは直腸から始まり、口側へ連続して広がります。血便、下痢、腹痛、便意切迫感などを認め、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。

原因・年齢

明確な原因は解明されていません。免疫の異常、遺伝的ななりやすさ、腸内細菌、環境因子などが複雑に関与すると考えられています。若年成人に多い疾患ですが、小児から高齢者まで、どの年齢でも発症する可能性があります。

診断方法

診断では、症状の経過、血液検査、便検査、感染性腸炎などの除外、大腸内視鏡検査と生検組織検査を総合して判断します。典型的には、直腸から連続するびまん性炎症、血管透見像の消失、易出血性、びらん・潰瘍などを確認します。

病型と重症度

項目 説明
病変範囲による病型 直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型などに分けます。炎症の範囲により、使用する薬剤や内視鏡による経過観察の方針が変わることがあります。
病期 炎症が強く症状がある「活動期」と、症状や内視鏡所見が落ち着いた「寛解期」に分けます。
重症度 排便回数、血便、発熱、頻脈、貧血、炎症反応などを参考に、軽症・中等症・重症に分類します。強い腹痛、発熱、多量の血便がある場合は早急な対応が必要です。

参照:難治性炎症性腸疾患障害に関する調査研究(鈴木班) 『一目でわかるIBD 第二版』 

内科治療の選択肢

治療は、炎症の範囲と重症度、これまでの治療歴、合併症、年齢、生活背景を踏まえて選択します。活動期には炎症を抑えて寛解を目指し、寛解後は再燃を防ぐための維持療法を継続します。
治療 位置づけ
5-ASA製剤 軽症から中等症の基本治療として用いられます。内服薬に加え、直腸炎型や左側大腸炎型では坐剤・注腸などの局所治療も重要です。
副腎皮質ステロイド 中等症以上の活動期に、寛解導入を目的として使用します。長期維持療法には適さないため、漫然と続けないことが重要です。
免疫調節薬 ステロイド依存例や再燃を繰り返す症例などで、維持療法として検討します。使用前・使用中の副作用確認が必要です。
生物学的製剤・分子標的治療薬 中等症から重症、既存治療で効果不十分な場合に検討します。抗TNFα抗体、抗インテグリン抗体、抗IL-12/23抗体、抗IL-23抗体、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬など複数の選択肢があります。
血球成分除去療法など 病状や施設体制に応じて選択されることがあります。

外科治療の選択肢

潰瘍性大腸炎では、薬物治療で改善しない重症例や、穿孔・大量出血・中毒性巨大結腸症、がんまたは高度異形成が疑われる場合などに手術を検討します。手術は「最後の手段」というだけではなく、長期の安全性や生活の質を守るための重要な選択肢です。
手術が検討される状態 主な手術様式
内科治療で改善しない重症・劇症例、合併症を伴う症例 大腸全摘術を基本とし、全身状態に応じて一時的人工肛門を造設する段階的手術を行うことがあります。
がん・高度異形成が疑われる症例、長期罹患で発癌リスク評価が必要な症例 大腸全摘術、回腸嚢肛門吻合術または回腸嚢肛門管吻合術などを病状に応じて検討します。
慢性的な活動性によりQOLが大きく低下する症例 薬物治療の継続リスクと手術後の生活を比較し、患者さんと相談しながら方針を決定します。

クローン病(CD)

概念

クローン病は、口腔から肛門までの消化管全体に炎症が起こり得る病気です。特に小腸と大腸に多くみられます。炎症は腸壁の深い層まで及ぶことがあり、狭窄、瘻孔、膿瘍、肛門病変などの合併症を生じることがあります。

原因・年齢

潰瘍性大腸炎と同様に、原因は一つに特定されていません。免疫の異常、遺伝的要因、腸内細菌、食事や生活環境などが関係すると考えられています。若年で発症することが多い一方、高齢で診断される方もいます。

診断方法

診断では、腹痛、下痢、体重減少、発熱、肛門症状などを確認し、血液検査、便検査、大腸内視鏡検査、上部消化管内視鏡検査、小腸評価、CT・MRIなどを組み合わせます。感染症や腸結核、腸管ベーチェット病など、似た病気を除外することも重要です。

病型と重症度

項目 ホームページでの説明
病変部位による病型 小腸型、小腸大腸型、大腸型などに分けます。上部消化管病変や肛門病変を伴うこともあります。
病態による分類 炎症型、狭窄型、瘻孔・膿瘍などを伴う穿通型に分けて考えます。病態により薬物治療、内視鏡治療、外科治療の位置づけが変わります。
重症度 症状、栄養状態、発熱、貧血、炎症反応、内視鏡所見、画像検査での合併症の有無などを総合して判断します。

内科治療の選択肢

クローン病では、炎症を抑えることに加えて、狭窄や瘻孔などの合併症を防ぐことが重要です。栄養状態の改善、薬物治療、内視鏡治療、外科治療を組み合わせて治療します。
治療 位置づけ
栄養療法・食事調整 活動性や狭窄の有無、栄養状態に応じて行います。特に小腸病変や体重減少を伴う場合、栄養管理は重要です。
副腎皮質ステロイド 活動期の炎症を抑える目的で使用します。寛解維持を目的とした長期使用は避けます。
免疫調節薬 再燃予防や治療維持を目的に検討します。副作用モニタリングが必要です。
生物学的製剤・分子標的治療薬 中等症から重症、瘻孔を伴う症例、既存治療で効果不十分な症例などで検討します。抗TNFα抗体、抗IL-12/23抗体、抗IL-23抗体、抗インテグリン抗体、一部の低分子薬などを病態に応じて選択します。
内視鏡治療 短い線維性狭窄では、内視鏡的バルーン拡張術が選択肢となることがあります。穿通病変や強い炎症がある場合は適応を慎重に判断します。

外科治療の選択肢

クローン病の手術は、病気を完全に治す治療ではありません。しかし、腸閉塞、膿瘍、瘻孔、穿孔、癌などの合併症がある場合や、内科治療だけでは生活の質が保てない場合には、重要な治療選択肢になります。できるだけ腸を温存し、術後再燃を予防する治療につなげることが大切です。
手術が検討される状態 主な手術・処置
穿孔、大量出血、内科治療で改善しない腸閉塞、膿瘍、癌が疑われる場合 責任病変の腸管切除、膿瘍ドレナージ、人工肛門造設などを病状に応じて行います。
難治性狭窄 限局した病変では腸管切除や狭窄形成術を検討します。短い狭窄では内視鏡的バルーン拡張術が選択肢となることもあります。
瘻孔・膿瘍を伴う病変 腸管切除、膿瘍ドレナージ、必要に応じた人工肛門造設などを検討します。
難治性肛門病変 切開排膿、シートン法、狭窄拡張術、人工肛門造設などを、消化器内科・外科・肛門外科が連携して検討します。

診断と治療で大切にしていること

IBD診療では、症状の改善だけでなく、腸管炎症の客観的な評価を行いながら治療目標を設定します。活動期には寛解導入療法を行い、寛解後は再燃を防ぐための維持療法を継続します。
近年は、症状だけでなく内視鏡所見や炎症マーカーなどを参考にしながら、治療目標の達成度を確認し、必要に応じて治療を見直す考え方が重視されています。患者さんの生活背景や希望も踏まえ、相談しながら治療方針を決定します。
診療の流れ 内容
1. 症状・病歴の確認 血便、下痢、腹痛、体重減少、発熱、肛門症状、薬剤歴、感染症リスクなどを確認します。
2. 検査による診断 血液検査、便検査、内視鏡検査、生検、CT/MRI、小腸検査などを組み合わせます。
3. 治療方針の決定 病型、重症度、合併症、年齢、妊娠希望、仕事・学校生活などを踏まえて選択します。
4. 寛解導入と維持療法 活動期には炎症を抑え、寛解後は再燃を防ぐ治療を継続します。
5. 定期的な見直し 治療効果、副作用、内視鏡所見、発癌リスク、生活の質を確認しながら調整します。

当センターの特徴

  • 通常の消化器内科外来とIBD専門外来が連携した診療体制
  • IBD専門医・IBD連携専門医を含む医師による専門的な診療
  • 薬物治療から内視鏡評価・内視鏡治療、外科的治療まで一貫した対応
  • 多様な生物学的製剤・分子標的治療薬を用いた治療選択
  • 病状だけでなく、生活背景や通院継続性を踏まえた長期的な治療支援
  • 地域医療機関との連携による継続的な診療支援

  • 患者さんの病状や生活背景に応じた、長期的かつ包括的な診療を提供してまいります。

受診・紹介の目安

患者さんへ

以下のような症状や状況がある場合は、早めの受診や相談をご検討ください。
  • 血便、下痢、腹痛、便意切迫感が続く
  • 体重減少、発熱、貧血、強い倦怠感がある
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病と診断されたが、治療方針について相談したい
  • 現在の治療で症状が十分に落ち着かない、または再燃を繰り返す
  • 生物学的製剤や分子標的治療薬など、専門的治療について相談したい

医療機関の先生方へ

 IBDは長期的な管理が必要な疾患であり、地域医療機関の先生方との連携が重要です。当センターでは、診断に迷う症例、治療方針に悩まれる症例、専門的治療の導入や調整、難治例への対応などについて幅広く対応しております。
  • IBDが疑われるが、診断に迷う症例
  • ステロイド依存またはステロイド抵抗性が疑われる症例
  • 生物学的製剤、JAK阻害薬、S1P受容体調節薬などの導入を検討している症例
  • 治療中であるが、症状や炎症所見のコントロールが不十分な症例
  • 狭窄、瘻孔などの合併症が疑われるクローン病症例
  • 内視鏡評価や治療方針の再検討が必要な症例
ご紹介時にあると診療が円滑になる情報
診療情報提供書に加え、可能な範囲で、血液検査結果、炎症評価、内視鏡画像・病理結果、画像検査結果、これまでの薬剤歴をご共有ください。
 一方で、より高度な集学的治療や緊急対応が必要と判断される場合には、患者さんの安全性と治療選択肢を確保するため、大学病院やIBD診療に対応した高次医療機関への紹介・相談を検討します。紹介後も、治療方針が定まり病状が安定した段階では、患者さん・紹介元の先生方と相談し、当センターまたは地域医療機関での継続診療へつなげます。

参考資料

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班):潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和7年度改訂版(令和8年3月31日)
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