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診療科・部門

ロボット支援下前立腺がん手術


da Vinci Xi Surgical Systemによるロボット支援下前立腺がん手術

日本では、2012年4月に前立腺癌に対するロボット支援手術が保険適応となりました。
当院におきましても、2024年4月よりロボット支援下前立腺がん手術を開始しております。


ロボット(商品名daVinci ダビンチ)のアームは、関節機能付きインストゥルメントによりヒトの手よりも曲がり、回転することができます。また、手ぶれの補正ができることにより、より安全に手術が行えるのではと考えられています。従来の一般的な腹腔鏡下手術よりも複雑で細やかな手術を可能としており、また3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ低侵襲な手術が可能となります。

対象

前立腺がんの患者さんを対象とし、ダビンチXiを用いたロボット支援下腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術を行います。
ただし、ロボット支援下手術を希望されても、患者さんの状態、腫瘍の進行度により他の治療法をお勧めする場合があります。

費用

当科で行っている前立腺癌に対するロボット支援下手術は保険診療となります。
保険診療では高額療養費制度*が利用できるため、実質の負担額は、所得区分にもよりますが多くの場合10万円程度となります(入院期間が月をまたがない場合)。
但し、費用としては、保険診療費以外に、食事・個室代は別途必要になります。

例)ロボット支援下前立腺全摘術
3割負担の場合(高額療養費制度利用なしの場合):
入院日数:8-10日  
費用:約48-55万

*高額療養費制度を利用すると保険診療費としての自己負担額は、
70歳未満の方の場合…所得区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円の方、報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)で12万円程
70歳以上の方の場合…一般所得者で8万円程

上記金額はおおよその目安です。費用等は、入院期間や治療内容、年齢や年収、健康保険制度によって異なりますので、詳しくはお問い合わせください。

方法

当院ではダビンチXiを用いてロボット支援下手術を行います。施行する手術内容としては開腹手術と比べて創の大きさは小さくなりますが、切除する前立腺の範囲などは大きくは変わりません。通常手術との違いは手術道具としてダビンチXiを使用することでより精密な手術が可能となります。

手術の担当

ダビンチ手術の認定ライセンス受けた医師が執刀し、ロボット手術チーム(看護師・ME)が担当します。

ロボット支援下手術のメリット

ロボット支援下前立腺がん手術(ロボット支援前立腺全摘除術)は、従来の開腹手術に比べて一般的に以下のようなメリットがあります。

  1. 低侵襲性
  2. 小さな切開:開腹手術では大きな切開が必要ですが、ロボット支援手術では数cm程度の小さな切開が数箇所で済みます。これにより、患者の身体的負担が軽減されます。

  3. 出血量の減少
  4. ロボット支援手術では精密な操作が可能であるため、組織や血管へのダメージを最小限に抑えることができ、結果として出血量が少なくなります。

  5. 回復が早い
  6. 小さな切開と出血量の減少により、術後の回復期間が短くなります。患者は通常、入院期間が短く、日常生活への復帰も早まります。

  7. 痛みが少ない
  8. 切開が小さいため、術後の痛みも軽減され、痛み止めの必要量も減ります。

  9. 合併症のリスク低減
  10. ロボットの精密な操作によって、神経や血管などの重要な組織へのダメージが最小限に抑えられ、合併症(例えば、尿失禁や勃起不全など)のリスクが低くなる可能性があります。

  11. 術者の精度向上
  12. ロボット支援システムは手ぶれを抑え、3D高解像度の視覚情報を提供するため、術者の操作精度が向上します。これにより、前立腺を精密に摘出し、周囲の神経や組織を保護することが可能になります。

  13. 少ない感染リスク
  14. 小さな切開と短い入院期間により、感染症のリスクが従来の開腹手術よりも低いとされています。

  15. 術後の生活の質向上
  16. ロボット支援手術は、尿失禁や勃起不全といった術後の生活の質に大きな影響を与える合併症のリスクを低減させることができるため、患者の生活の質が維持されやすいとされています。

da Vinci Xi Surgical System(ダビンチXi)の概要

ダビンチは1990年代に米国で開発され、1999年よりIntuitive Surgical社から臨床用機器として販売された手術支援ロボットです。当院では最新のダビンチXiが導入されています。

ダビンチは、「Patient-side Cart」、「Vision System」、「Surgeon Console」 の3つから構成されています。術者は「Surgeon Console」で3Dモニター画面を見ながらロボットアームを操作して手術を行います。
立体的な3Dモニター画像でのダビンチの手術は、限られた空間での精密な作業を正確に行うことにより低侵襲で確実な、機能温存に優れた手術を実現することを目指しています。
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