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診療科・部門

ロボット支援下大腸がん手術


Da Vinci Xi Surgical Systemによるロボット支援下大腸がん手術

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんで、腺腫という良性のポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。大腸がんにかかる頻度(罹患率)は、食文化の西洋化などにより増加し、現在、全がん種の中で、男女ともに2位、全体では1位となりました。さらに近年は若年者の大腸がんが増加しています。

日本では、2018年に「直腸切除・切断術」が、2022年に「結腸悪性腫瘍手術」が保険適用となり、全ての大腸がんの患者さんに保険適用が拡大されました。当院でも、2024年5月よりロボット支援下大腸手術を開始しております。

ロボット(商品名DaVinci ダビンチ)のアームは、多関節機能によりヒトの手よりも曲がり、回転することができます。また、手ぶれの補正ができることにより、より安全に手術が行えるのではと考えられています。従来の一般的な腹腔鏡下手術よりも複雑で細やかな手術を可能としており、また3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ低侵襲な手術が可能となります。

対象

大腸がんの患者さんを対象とし、ダビンチXiを用いたロボット支援下腹腔鏡下大腸手術を行います。
ただし、ロボット支援下手術を希望されても、患者さんの状態、腫瘍の進行度により他の治療法をお勧めする場合があります。

費用

当科で行っている大腸がんに対するロボット支援下手術は保険診療となります。
保険診療では高額療養費制度*が利用できるため、実質の負担額は、所得区分にもよりますが多くの場合10万円程度となります(入院期間が月をまたがない場合)。
但し、費用としては、保険診療費以外に、食事・個室代は別途必要になります。
例)3割負担(高額療養費制度利用なし)の場合
ロボット支援下結腸がん手術 ロボット支援下直腸がん手術
入院日数 8-10日 10-14日
費用 約41-51万 約52-60万
*高額療養費制度を利用すると保険診療費としての自己負担額は、
◆70歳未満の方の場合
 所得区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円の方、報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)で12万円程
◆70歳以上の方の場合
 一般所得者で8万円程

上記金額はおおよその目安です。
費用等は、入院期間や治療内容、年齢や年収、健康保険制度によって異なりますので、詳しくは医事課までお問い合わせください。

方法

当院ではダビンチXiを用いてロボット支援下手術を行います。ペイシェントカートとよばれるロボット本体に、カメラと鉗子(かんし)を取り付け、8mmの小さな創からそれらをお腹に挿入して手術を行います。術者は、サージョンコンソールに座り、遠隔操作でロボット本体を動かします。手術道具としてダビンチXiを使用することでより精密な手術が可能となります。

手術の担当

日本内視鏡外科学会のロボット支援手術認定プロクター(指導医)が2名在籍しております。
ダビンチ手術の認定ライセンス受けた医師が執刀し、ロボット手術チーム(看護師・ME)が担当します。

ロボット支援手術の特徴


1.低侵襲性
開腹手術では大きな切開が必要ですが、ロボット支援手術では数cm程度の小さな切開が数箇所で済みます。これにより、術後の痛みが少なく、見た目の整容性にも優れます。ロボット手術は腹腔鏡手術に比べて開腹手術への変更が少ないことも言われております。

2.出血量の減少
ロボット支援手術では多関節機能を駆使した、確実な視野展開と切離操作が可能となるため、不用意な出血を生じるリスクが少なくなります。特に、男性、肥満、下部直腸などの腹腔鏡手術での操作が困難な症例で有用性があります。

3.細かな血管へのアプローチ
ダビンチでは、3Dモニターで安定した視野が確保でき、手ぶれのない操作と多関節鉗子の先端の屈曲によって、血管周辺への精緻なアプローチが可能です。

4.肛門温存手術の可能性が向上 
腹腔鏡の無関節で直線的な鉗子では、骨盤内では強い動作制限を受け,手ぶれは繊細な操作の質を低下させます。それに比べてロボットアプローチは,関節機能のある鉗子により肛門管解剖に沿った正確な剝離,手ぶれのない安定した術野,立体的な3D 視野により、肛門管内までの剝離が可能になります。

5.蛍光観察の併用
ダビンチXiでは、Fireflyイメージングシステムを使用し、近赤外光による観察を行うことで、臓器損傷の回避や腸管血流の評価を行うことが可能です。これにより、手術後の合併症を最小限に減らすことが可能と考えています。

6.手術の精度向上
ロボット支援システムは、狭い骨盤の深部でも、組織にしっかりとした緊張を加えた手術が可能となり、腹腔鏡手術にくらべて、直腸間膜全切除の可能性が高まると報告されています。つまり、癌の取り残しのない、質の高い手術が可能になります。

7.術後の生活の質向上
骨盤深部・肛門近傍への確実な操作が可能となるため、従来の腹腔鏡手術に比べて肛門温存率の向上が期待できます。ロボット支援下直腸切除では、多関節機能を用いた確実な自律神経温存手術により、手術後の性機能障害や排尿障害が軽減されることが報告されています。

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