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診療科・部門

内視鏡による病変の早期発見・早期治療(大腸Cold polypectomyなど)


大腸コールドポリペクトミー(Cold polypectomy)とは

腺腫性ポリープを切除すると大腸がんの発生が予防される

大腸の腺腫性(腫瘍性)ポリープを内視鏡的に切除することで大腸がんの発生が予防されることが国内外の数多くの論文で証明されております。そのため発見された腺腫性ポリープは切除することが勧められます。

コールドポリペクトミーとは

従来は、ポリープを切除する場合には高周波電流を用いて焼灼しつつ切除する方法が主流でした(熱を加えるためホットポリペクトミーとも呼ばれます)。しかし、熱の影響で切除後の潰瘍面への影響などにより出血・穿孔(腸に孔があくこと)のリスクがあります(この偶発症のリスクを考慮し治療後一週間は生活制限が必要です)。しかし、微小な病変であってもホットポリペクトミーでの切除であれば同様のリスクがあり、その治療そのもののメリット・デメリットを考えねばなりません。
一方、コールドポリペクトミーは、通電させないポリープ切除方法であり近年急速に普及しています。通電させないことで、切除後の出血・穿孔リスクが極めて低くすることができ、また治療後の生活制限も数日程度となります。最近では抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を内服されている方も多く治療後の出血が注意が必要ですが、コールドポリペクトミーでは抗血栓薬内服中であっても出血リスクが上がらないということも報告されています。当科ではコールドポリペクトミーを2014年から本格的に導入しており国内・国際学会、論文で報告しています。

参考論文
• Arimoto J, Higurashi T, Chiba H, et al. Continued Use of a Single Antiplatelet Agent Does Not Increase the Risk of Delayed Bleeding After Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection. Digestive Diseases and Sciences. 2017.
• Arimoto J, Chiba H, Ashikari K, et al. Safety of Cold Snare Polypectomy in Patients Receiving Treatment with Antithrombotic Agents. Digestive Diseases and Sciences. 2019.

コールドポリペクトミーの対象病変

①10㎜以下であること、②癌を疑う所見がないこと、とされています。
癌を疑うかどうかは確実な内視鏡診断が必要です。そのために拡大内視鏡とよばれる精密検査が可能な内視鏡での診断が望ましく、当科でも最新の拡大内視鏡を数多くそろえており確実な診断のもと、治療を行っています。そのため腫瘍のサイズが小さいからすべてコールドポリペクトミーの対象、ということではなく、診断した上での治療方針をその場で決定していると考えていただきたいと思います。

コールドポリペクトミーの課題

コールドポリペクトミーの検体は薄いものが多く検体がしっかり回収できないことや、長期の成績(再発のリスク)がまだ十分ではありません。今後更にデータを蓄積していく必要があります。

症例:80代、男性、心房細動にて抗凝固薬を服用中。

大腸内視鏡にて上行結腸に6mm大の病変を発見。拡大内視鏡で低異型度腺腫と診断し、cold snare polypectomyを施行。1分で切除終了、術後も出血なく経過。
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